帯広第一病院

内視鏡センターのご案内


小腸内視鏡

 胃や十二指腸を観察する上部消化管内視鏡と、大腸及び快調末端まで観察する下部消化管内視鏡は現在広く行われている内視鏡検査ですが、一部を除く大部分の小腸を今まで観察することは非常に困難なことでした。消化管出血で、上部消化管にも下部消化管にも異常がなかった場合、外科に試験開腹をしてもらったうえで小腸にスコープを入れて観察していました。

 一方、小腸鏡ができて比較的楽に小腸の観察ができるようになるまでは、消化管の疾患の大多数は、食道、胃、大腸にのみ存在し、小腸があまり病気を起こすことはないと考えられてきました。しかし、それは大きな誤解で、ただ単に、体に負担をかけることなく小腸を観察できる手段がなかったから、だけなのです。

 主だった病気をあげてみると、小腸から出血を起こすメッケル憩室(の中の異所性胃粘膜)、GIST(消化管間質性腫瘍)、悪性リンパ腫、小腸悪性腫瘍など、腫瘍性病変や出血性病変などがあります。

 当センターでは、昨年度より上下部内視鏡、超音波内視鏡等の整備等を集中的に行っていますが、残念ながら小腸内視鏡を常備するまでには至っておりません。その原因の一つとして、小腸疾患の数が少ないということです。

 現在、小腸を観察する手段はカプセル内視鏡とバルーンをつけた内視鏡の2つがあります。いずれも、症例があれば可及的速やかに小腸鏡を借りて、施行する体制を整えております。

 カプセル内視鏡については、最近の新聞報道等でもご覧になっていることも多いかと思いますが、2社が販売しており(イスラエルのギブンイメージングとオリンパス)、当センターではオリンパスのカプセル内視鏡のシステムを、症例に合わせて借り、施行しております。

 検査法は至って簡単です。前日より絶食としていただき、当日朝から大腸内視鏡検査で使用する前処置のニフレックを1リットル服用し、その後カプセルを服用していただきます。カプセルからの微小電波をとらえるアンテナを体に8枚ほど貼り付けて頂き、機器を背負って(といっても5cm四方くらいの小さな機器です)8時間ほど日常生活を過ごしていただきます。8時間でおおよそ小腸の外にカプセルが出るので、それを持って検査終了となります。後はカプセルが1秒間に2枚ずつ撮影してくる膨大な写真を解析し、結果報告をいたします。なお、カプセルは体内に長期間とどまると思ってもいない悪影響を及ぼす可能性があるため、肛門から確実に出てくるまで観察が必要です。従って、腸閉塞を起こすような可能性のある小腸疾患(クローン病など)に対して使用することは禁じられています。

 当センターで施行しているもう一つの検査がシングルバルーン小腸鏡です。バルーンが先についたオーバーチューブというプラスチック製のチューブの中に内視鏡を通してある内視鏡です。普通に進めるところまでは普通に進めますが、その後は可動性の良い小腸壁にバルーンを膨らませてオーバーチューブを固定した上で内視鏡をすすめ、ある程度内視鏡が進んだらバルーンを縮ませてオーバーチューブを進めて、バルーンを再膨張させて小腸壁に固定させる→オーバーチューブとスコープごと引いて腸を短縮するという方法で(言葉だけだといささか理解が難しいかもしれませんが、尺取り虫のようにして小腸内を這っていく印象です)小腸を観察します。口と肛門の両方から観察することで長い小腸のほぼ全てを観察することが可能です。極端な場合ですと条件の良い方なら、肛門からカメラを進めて、噴門(食道と胃の境目)を胃側から観察することができることもあるようです。シングルバルーン、及びダブルバルーン内視鏡では、処置具をチャンネルに通すこともできますので、動静脈奇形に対してのアルゴンプラズマ凝固法を用いた焼灼術や腫瘍からの生検なども可能です。また行きにくい小腸を確実に進んでいけることから、膵頭十二指腸術後などの内視鏡的逆行性膵管胆管造影(通常の方法ではまずほぼ不可能)に対して使用されることもあります。

 小腸鏡が楽にできるようになったとはいえ、通常の上下部消化管内視鏡検査に比べるとまだまだ検査時間も長く、負担の大きな検査です。従って、小腸鏡を施行する場合、上下部内視鏡検査を施行して、大きな異常がないにもかかわらず出血を起こす、あるいは別の検査で小腸に何か腫瘍性の病変があるなどの理由がない限りは施行できません。小腸鏡が必要と考えられる方に対しては、こちらからお勧めいたします。その際に詳細な説明をいたしますので、主治医とよくご相談ください。