消化器内視鏡センター

概要

当院は平成21年に日本消化器内視鏡学会指導施設に認定されました。当センターに主に係わる消化器内科には、消化器内視鏡を専門とする医師が在籍しており、当センター専属の内視鏡スタッフを配置して検査・治療に当たっております。内視鏡スタッフには、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡技師の資格を積極的に取得させ、内視鏡センタースタッフ全員の知識の底上げを図っております。平成25年度には大規模な改修工事を行い、患者様がこれまで以上に安心して検査を受けていただけるような前処置室・リカバリー室へと改装し、内視鏡検査も最大4室で行える体制になりました。

日々のスクリーニング検査からハイビジョン内視鏡を使用し、消化管癌の診断・治療に現在では必要不可欠となっているNBI観察や拡大観察にも対応し、その他にも超音波内視鏡、シングルバルーン小腸内視鏡、小腸カプセル内視鏡、大腸カプセル内視鏡など、質の高い診断を提供できる体制を整えております。また、内視鏡室マネージメントシステムとしてオリンパス社製の「ソレミオ」を導入しており、使用した内視鏡の機種や洗浄消毒などの記録管理が行え、院内のどこからでも内視鏡のレポートや画像を参照できます。

単に院内的な内視鏡検査・治療の機能を集中させただけでなく、名実ともに地域医療における内視鏡の「センター」としての役割を果たすべく、最新の内視鏡検査ユニットやスコープの新規導入および増設を行うように心がけております。

CT前室
CT前室

内視鏡内科診察室
内視鏡内科診察室

透視室
透視室

リカバリ室
リカバリ室

内視鏡内科待合室
内視鏡内科待合室

内視鏡内科待合室
内視鏡内科待合室

苦痛の少ない内視鏡検査を受けていただくために

当院では、以下のシステムを完備し、痛くない、苦しくない内視鏡検査を目指しております。

  • 最新型のフルデジタル内視鏡システム
  • 炭酸ガス送気装置
    炭酸ガス送気法で検査後のお腹の張りを軽減します。(主に大腸カメラ時に使用)
  • 大腸CTコロノグラフィー検査
    大腸内に炭酸ガスを注入してCT撮影します。内視鏡検査(大腸カメラ)と比較すると苦痛が少なく3次元的に大腸を観察することができる検査方法です。
  • 大腸カメラを行う全ての患者様に点滴
    鎮静剤を使うことにより、スコープ挿入の苦痛が大幅に軽減されます。
  • 最新式の内視鏡消毒システム
    「過酢酸」と「超音波洗浄」を採用した最新の内視鏡システムで『高水準消毒』を実現。高い安全性を確保しております。

診療実績

内視鏡検査実績
検査手技2021年度2022年度2023年度
上部消化管4,5275,5265,721
(内訳)上部消化管内視鏡検査4,3685,3585,448
消化管止血術462962
異物除去術(アニサキスなど)61818
胃ESD(内視鏡的粘膜下層切除術)192140
食道静脈瘤硬化療法・結紮術8420
食道・胃ステント留置術32110
内視鏡的胃ろう造設術393435
その他384188
下部消化管1,3051,6581,705
(内訳)下部消化管内視鏡検査1,0781,3921,407
大腸止血術121728
大腸ESD(内視鏡的粘膜下層切除術)122838
大腸EMR(内視鏡的粘膜切除術)179176199
大腸ステント留置142120
その他102413
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)胆道ステント留置術174198233
カプセル内視鏡検査004
バルーン内視鏡検査401
胆膵EUS6379106
肝生検(経皮的針生検)900
経カテーテル肝動脈塞栓術000
経皮的ラジオ波焼灼療法100
合計6,0837,4617,770

消毒・洗浄

当院では消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドラインを元に、内視鏡の洗浄消毒を行っています。使用した内視鏡は、検査が終わるごとに、洗浄・消毒を行い、全ての患者様に、安心安全に検査を受けていただけるようになっています。

内視鏡自動洗浄装置について

洗浄・消毒の均一化、人体への消毒薬暴露防止を考慮し、内視鏡自動洗浄装置を使用することが望ましいとされています。当院でも、オリンパス社製のOER-4(消毒液:過酢酸)とカイゲン社製のクリーントップ(消毒液:電解酸性水)の自動洗浄装置(計7台)を設置しています。

超音波洗浄器 ENDOSONIC
超音波洗浄器 ENDOSONIC

洗浄消毒装置 WM-S
洗浄消毒装置 WM-S

洗浄消毒装置 OER-3
洗浄消毒装置 OER-3

洗浄消毒装置 OER-2
洗浄消毒装置 OER-2

洗浄消毒装置 OER-4
洗浄消毒装置 OER-4

内視鏡の保管について

内視鏡のチャンネル内に水分が残っていると保管中に細菌が増加するので、チャンネル内を十分に乾燥させる必要があるとされています。そのため、洗浄・消毒後、付属部品(吸引ボタンなど)は装着せずに保管しています。また、乾燥機能付の保管庫を使用しています。なお、保管庫内は清潔な環境を保つため、毎日消毒液で清拭しています。

内視鏡処置具について

内視鏡検査では各種処置具を使用しますが、安全面を考慮し、ディスポーザブル製品を使用しています。全ての処置具をディスポーザブル製品のものを使用したいと考えていますが、ディスポーザブル製品になっていない処置具もあります。使用したリユーザブル製品に関しては、内視鏡室で超音波洗浄器で洗浄後、中央材料室にて滅菌処理を行ったのち、患者様へ使用しています。

内視鏡各種検査のご案内

上部消化管内視鏡検査

いわゆる「胃カメラ」です。口もしくは鼻から内視鏡を挿入し、上部消化管(食道・胃・二指腸)を観察します。一般検査と特殊検査・治療に分かれます。

一般検査

炎症、潰瘍、ポリープ、腫瘍などを診断するために行い、場合によってはピロリ菌感染の検索や組織検査(顕微鏡で細胞を確認する)のために粘膜の一部を採取することがあります。

特殊検査・治療

内視鏡的止血術

潰瘍などの出血性病変に対して、適切な処置具を用いて止血処置(クリップによる機械的止血、高周波 電流による熱凝固など)を行う方法です。

肝硬変などに伴う門脈圧亢進症の重篤な合併症の一つである食道・胃静脈瘤に対しても、静脈瘤破裂に対する緊急止血や静脈瘤破裂の予防として、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)や内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)などを行っています。

内視鏡的切除

内視鏡を用いてポリープや癌を切除する方法です。内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの方法があります。

超音波内視鏡検査(EUS)

内視鏡先端に超音波プローブが付いた専用機と、内視鏡の鉗子孔から挿入して使用する細径プローブに分けられ、消化管の中から超音波検査を行う方法です。癌の浸潤の深さの程度や粘膜下腫瘍の内部性状を評価するときなどに行います。超音波内視鏡を用いて腫瘍へ直接針を刺して、組織の一部を取ってくることもあります(EUS-FNA)。

下部消化管内視鏡検査

いわゆる「大腸カメラ」です。肛門から内視鏡を挿入し、下部消化管(大腸と小腸の一部)を観察します。上部消化管内視鏡検査と同様、一般検査と特殊検査・治療に分かれます。

一般検査

炎症、ポリープ、腫瘍などを診断するために行い、場合によっては組織検査(顕微鏡で細胞を確認する)のために粘膜の一部を採取することがあります。

特殊検査・治療

内視鏡的止血術

潰瘍や憩室などからの出血性病変に対して、適切な処置具を用いて止血処置(クリップによる機械的止血、高周波電流による熱凝固など)を行う方法です。

内視鏡的切除

内視鏡を用いてポリープや癌を切除する方法です。ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの方法があります。

超音波内視鏡検査(EUS)

内視鏡の鉗子孔から挿入して使用する細径プローブを用いて、消化管の中から超音波検査を行う方法です。癌の浸潤の深さの程度や粘膜下腫瘍の内部性状を評価するときなどに行います。

カプセル内視鏡

約3cmのカプセル内視鏡を飲み込んで検査を行います。観察のみで、組織検査や治療は行えません(保険適応患者は限られます)。

小腸内視鏡検査

上・下部消化管内視鏡検査では観察できない小腸を観察します。バルーン内視鏡とカプセル内視鏡があります。

バルーン内視鏡

シングルバルーン内視鏡とダブルバルーン内視鏡があります。当院ではシングルバルーン内視鏡を常備しております。口もしくは肛門から内視鏡を挿入して、X線透視下で行います。観察に加えて、出血に対する止血処置や狭いところを広げたりする処置を行うこともあります。

カプセル内視鏡

3cm弱のカプセル内視鏡を飲み込んで検査を行います。観察のみで、組織検査や治療は行えません。(保険適応患者は限られます)。

胆膵内視鏡検査

胆嚢、胆管、膵臓の病気を診断するために、口から内視鏡を挿入して行う検査です。病変の部位、種類、黄疸の状態などにより、様々な検査および処置法があります。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

胆嚢、胆管、膵臓の病気を診断するために、口から十二指腸へ専用の内視鏡を入れ、胆管および膵管の出口(ファーター乳頭)から胆管や膵管の中に細いチューブを挿入して造影剤を注入し、レントゲン撮影を行う検査です。

胆道が閉塞しておこる閉塞性黄疸や総胆管結石に対する治療として、内視鏡下に電気メスでファーター乳頭開口部を切開する方法(内視鏡的乳頭括約筋切開術/EST)や、内視鏡下に風船(バルーン)を使用してファーター乳頭開口部を拡張する方法(内視鏡的乳頭バルーン拡張術/EPBD)などがあります。

その他関連手技として、内視鏡的胆道ドレナージ(EBD)および膵管ドレナージ、また超音波内視鏡を用いての各種ドレナージ術などもあり、その手技は多岐にわたります。

超音波内視鏡検査(EUS)

先端に超音波プローブがついた内視鏡を口から胃・十二指腸に挿入し、胆嚢、胆管、膵臓を観察します。体外式の超音波検査ではよく観察できない場所や、病変のより鮮明な画像を得るために行います。

EUS下で腫瘍などに直接針を刺して組織の一部を取ってきたり(EUS-FNA)、細径超音波プローブを胆管内や膵管内に直接挿入して行う管腔内超音波検査(IDUS)などもあります。

胃瘻

体表と胃を直接管で繋げる方法です。経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)といい、内視鏡を用いて作ります。嚥下摂食障害などの方に対して行うことが多いです。