血液・尿検査結果の見方
下記一覧表には代表的な疾患名をあげましたが、患者様の体質や疾患の程度によっては、高値や低値にならない場合もあります。また、1つの項目の値が正常値外であっても、即何かしらの病気と結び付けられませんので、その点ご理解ください。患者様の症状によって検査内容が変わります。下記一覧表の中には検査をしない項目もありますので、ご理解ください。詳細につきましては、担当医にお尋ねください。
【生化学】 |
項目 |
略名 |
性 |
基準値 |
単位 |
項目の説明 |
総蛋白 |
TP |
|
6.5~8.2 |
g/dl |
腎機能障害による体外への排出増加などにより、低値を示します。 |
総ビリルビン |
T-Bil |
|
0.3~1.2 |
mg/dl |
血液中の赤血球が多く破壊されたり、胆汁の排泄障害がおこると上昇します。これが上昇すると黄疸が現れます。 |
直接ビリルビン |
D-Bil |
|
0.4以下 |
mg/dl |
AST(GOT) |
|
|
10~40 |
U/l |
肝臓などの細胞が破壊されたときに高値を示します。軽度の上昇の場合はアルコールの多飲や過食、運動不足による脂肪肝などが考えられます。大幅な上昇は急性肝炎などが考えられます。 |
ALT(GPT) |
|
|
5~45 |
U/l |
アルカリ性フォスターゼ |
ALP |
|
38~113 |
U/l |
肝臓、骨、腸などに多く含まれる酵素で肝、胆道系の病変や骨折などで高値を示します。 |
乳酸脱水素酵素 |
LDH |
|
120~245 |
U/l |
肝臓の疾患、心筋梗塞のほか、急性感染症などでも高値を示します。 |
γ-GTP |
|
M |
79以下 |
U/l |
肝、胆道系の閉塞性疾患などで高値を示します。アルコール性・薬剤性肝障害、脂肪肝でも上昇します。 |
|
F |
48以下 |
クレアチンキナーゼ |
CPK(CK) |
M |
50~230 |
U/l |
心疾患(急性心筋梗塞など)や骨格筋疾患で増加しますが、その増加理由が不明である場合もまれではありません。激しい運動後でも高値を示します。 |
F |
50~210 |
アンモニア |
|
|
18~70 |
μg/dl |
肝硬変・劇症肝炎(肝性昏睡)、ショックなどで高値を示します。 |
トロポニン-T定性 |
|
|
(-) |
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健常者ではほとんど認められず、心筋障害時に著しく上昇しますので,急性心筋梗塞を鋭敏に検出できます。 |
アミラーゼ |
AMY |
|
39~134 |
U/l |
膵臓や唾液腺に多く含まれる酵素で膵炎や盲腸、 おたふく風邪などで高値を示します。 |
P型アミラーゼ |
P-AMY |
|
17~50 |
U/l |
アミラーゼには、膵臓由来(P型)と唾液腺由来(S型)の2種類があります。急性膵炎、慢性活動性膵炎ではこのP型が顕増してきます。 |
LDLコレステロール |
LDL-Cho |
|
70~139 |
mg/dl |
LDL<悪玉>コレステロールが上昇すると、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの危険があり、食生活の改善や運動療法が必要となります。今は、総コレステロール値よりもLDLコレステロール値が重要視されています。
また、中性脂肪の増加は脂肪肝の原因にもなります。 |
総コレステロール |
T-Cho |
|
150~219 |
mg/dl |
HDLコレステロール |
HDL-Cho |
M |
40~80 |
mg/dl |
F |
40~90 |
中性脂肪 |
TG |
|
50~149 |
mg/dl |
尿酸 |
UA |
M |
3.6~7.0 |
mg/dl |
痛風などで体内における産生が腎臓からの排泄を超えたとき、高値を示します。 |
F |
2.7~7.0 |
浸透圧 |
|
|
275~290 |
mOsm/KgH2O |
身体的脱水症状の有無、Na濃度の異常の有無などと併せて多尿症、尿の濃縮、希釈の程度を鑑別診断します。 |
C反応性蛋白 |
CRP |
|
0.3以下 |
mg/dl |
細菌やウィルス感染症や熱発などの炎症性疾患などで高値を示します。 |
空腹時血糖 |
血糖 |
|
70~109 |
mg/dl |
糖代謝異常や糖尿病のスクリーニング検査です。食事の影響を大きく受けます。 |
ヘモグロビンA1c |
HbA1c |
|
4.6~6.2 |
% |
1~3ヶ月前の血糖値とよく相関します。 |
ナトリウム |
Na |
|
135~145 |
mEq/l |
発汗や脱水で体の水分が不足した場合や、腎臓の機能低下によって不要物の尿中への排泄が障害されると異常値を示します。 |
カリウム |
K |
|
3.5~5.0 |
mEq/l |
クロール |
Cl |
|
98~108 |
mEq/l |
カルシウム |
Ca |
|
8.6~10.2 |
mg/dl |
血液中のカルシウム量であり、骨粗鬆症では変化しません。副甲状腺機能亢進症などで高値、副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏症などで低値を示します。 |
血清鉄 |
Fe |
M |
60~210 |
μg/dl |
TIBC = 血清鉄 + UIBC 3つの値の組み合わせで鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血、溶血性貧血、肝硬変、鉄過剰症などの判断をします。 |
F |
50~170 |
総鉄結合能 |
TIBC |
M |
250~410 |
μg/dl |
F |
250~460 |
不飽和鉄結合能 |
UIBC |
M |
120~330 |
μg/dl |
F |
110~425 |
【血液】 |
項目 |
略名 |
性 |
基準値 |
単位 |
項目の説明 |
白血球 |
WBC |
|
3,500~9,700 |
/μl |
感染症や血液疾患等で高値を示すことがあります。 |
赤血球 |
RBC |
M |
438 ~577 |
*104/μl |
貧血の程度、種類を示します。貧血は、様々な基礎疾患により二次的におこることがありますので、その原因を調べる必要があります。MCV,MCH,MCHCは他の項目から計算で求められる数値で、これだけが多少基準値を外れる程度であれば大きな意味がないケースがほとんどです。 |
F |
376~516 |
ヘモグロビン |
Hb |
M |
13.6~18.3 |
g/dl |
F |
11.2~15.2 |
ヘマトクリット |
Ht |
M |
40.4~51.9 |
% |
F |
34.3~45.2 |
血小板 |
PLT |
|
14.0~37.9 |
*104/μl |
出血した際の、止血機能を示します。 |
【凝固】 |
項目 |
略名 |
性 |
基準値 |
単位 |
項目の説明 |
プロトロンビン時間 |
PT |
|
10~13 |
秒 |
心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症、心臓弁膜症、心臓手術のあとに、血の塊を溶かしたり、固まりにくくする薬(抗凝固剤:ビタミンK拮抗薬(ワーファリンなど))を用いますが、過剰に投与すると血液が固まらなくなってしまうため、薬の量をどの程度使用したら良いかを調べるために検査します。また、手術前の検査として、血液の止まりやすさを見るときにも検査します。 |
プロトロンビン活性 |
80~120 |
% |
INR |
0.90~1.13 |
|
ヘパプラスチンテスト |
HPT |
|
70~130 |
% |
活性部分トロンボプラスミン時間 |
APTT |
|
26~38 |
秒 |
延長すると血友病、肝障害などが疑われます。 |
【感染】 |
項目 |
略名 |
性 |
基準値 |
単位 |
項目の説明 |
HBs抗原 |
|
|
(-) |
IU/ml |
B型肝炎ウイルスに感染しているかを判定します。 |
HCV抗体 |
|
|
(-) |
|
C型肝炎ウィルスに感染しているか、または過去に感染していたかを判定します。 |
RPR |
|
|
(-) |
倍 |
梅毒に感染しているか、または過去に感染していたかを判定します。RPRのみ陽性のときは、梅毒以外の疾患(SLE、伝染性単核症、水痘など)も考えられます。老年者では、特別な疾患がなくても陽性になることもあります。 |
TPHA |
|
|
(-) |
倍 |
【尿】 |
項目 |
略名 |
性 |
基準値 |
単位 |
項目の説明 |
尿蛋白 |
|
|
(-)~(±) |
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健康人でも運動やストレス、多量の肉食で一過性に出現する事があります。陽性が続く場合腎臓の疾患が疑われます。 |
尿糖 |
|
|
(-)~(±) |
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陽性の場合糖尿病が疑われます。ただし血糖値が低くても尿糖が陽性にでる場合もあります。(腎性糖尿) |
尿潜血 |
|
|
(-) |
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腎臓や尿路系の炎症や結石などで陽性になります。女性の場合生理前後は陽性になります。 |